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まずは知っておきたい! 妊娠のしくみ

久慈 直昭先生
東京医科大学 産科・婦人科 

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部産婦人科教室入局。
平成13年同大学産婦人科講師、平成26年より現職。生殖医学、不妊症を専門とする。

排卵から始まる妊娠への道のり

健康な卵子と精子が出会わなければ、妊娠は成立しません。そこでまずは、卵巣から卵子が排出される「排卵」がどのようにおこるのかをみていきましょう。

一般的に排卵は、月経周期と同様に約28日に1回おこります。時期は、月経が開始した日から数えて14日目ころ(月経周期が28日の場合)。それまで卵子は、卵巣にある卵胞という袋の中に入っており、脳の下垂体から分泌される「卵胞刺激ホルモン」によって成熟していきます。その中からたった一つだけ卵胞が選択され、そこから卵子が排出されるのです。排卵は、身体が一番安静な状態にあるときの体温「基礎体温」である程度予測することができます。

【女性のホルモンの動きと基礎体温】

排卵された卵子の寿命は、たった24時間程度。丸1日後には、卵子は赤ちゃんを作る力をなくしてしまいます。ですから卵子が排出されてから24時間までに精子と出会えないと、妊娠は成立しないのです。 ちなみに男性の精子は毎日つくられますが、女性の卵子のもととなる原始卵胞は生まれた時すでに体内にあり、年齢を重ねるに従って減少していきます。

選ばれた精子と卵子は受精し、一緒に移動して着床へ

排卵された卵子は、卵管の先にある卵管采に取り込まれます。そしてその後、少し奥にある卵管膨大部に移動。セックスによって女性の体内に精子が入り、卵子のもとにやってくるのを待つことになります。

排卵が近づくと、精子が通り抜けやすいように子宮の入り口(子宮口・頸管)には頸管粘液が分泌されます。これにより、膣内に射精されたたくさんの精子は頸管から子宮の内部へと泳ぎ進み、卵管を通過して卵子の待つ卵管膨大部に到達できるのです。まだ排卵が起きていない場合、精子が先に卵管膨大部で卵子を待つ場合も。いずれにせよ卵子と出会った複数の精子は卵子を取り囲み、その中の一つだけが周囲の透明帯を通過して卵子の中に入ることができます。そして入った瞬間にバリアが張られ、ほかの精子は卵子の中に入ることが不可能に。これが、妊娠のセカンドステップにあたる「受精」にあたります。

【受精のしくみ】

こうして卵管膨大部で受精した卵子と精子は「受精卵」となり、2細胞、4細胞、8細胞と細胞分裂を繰り返します。そして分裂しながら卵管を移動し、4日間ほどかけて子宮に到達するのです。いっぽう子宮は、受精卵を迎え入れるべく子宮内の環境を整えています。そこに受精卵が到達し、受精後7日目には子宮内内膜に潜り込んで根を張っていくのです。こうして、めでたく妊娠のスタートとなる「着床」が成立。着床後さらに細胞分裂を繰り返し、受精してから約3週間後には、超音波検査で胎嚢(赤ちゃんを包んでいる袋)が確認できます。

【着床のしくみ】

妊娠成立はどうやってわかる?

排卵して受精し、着床するまでには1週間、さらに超音波検査で妊娠が確認できるのはその約2週間後。ちょうど次の月経が始まる予定日から1週間ほど過ぎるタイミングになります(月経周期が28日の場合)。月経周期が順調だった女性の場合、予定日から1週間過ぎても生理が始まらなかったならば、妊娠の可能性が高いのです。

月経がなくなること以外にも、吐き気や胸焼けなどつわりの症状や、熱っぽくてだるい、眠気を感じるといった症状も妊娠のサイン。また少量の出血や下腹部の痛み、胸の張りなどの症状を訴える人も。こうした兆候があったら、市販の妊娠検査薬で確認するか、産婦人科を受診するのが一般的です。

市販の妊娠検査薬は、月経予定日の1週間後から検査できるものが多いようです。月経予定日から検査できるものもありますが、この時点で病院に行っても「経膣超音波検査」で胎嚢が確認できない場合もあります。そのため、月経予定日の1週間後以降に病院に行ったほうが確実だと言えるでしょう。胎嚢は直径が2mm以上になると超音波検査で確認することが可能になります。一般的には、妊娠4週で約80%、5週で100%の確率で、子宮内に胎嚢が確認可能。この時点で「妊娠確定」となり、その後妊娠5週後半から6週前半で赤ちゃんの心臓が動いていることが確認できます。市町村に妊娠届を出して母子手帳を受け取るのは、赤ちゃんの心拍確認がとれてから、という自治体が多いようです。

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