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『Seem』は妊娠や不妊治療に対する、 男性の意識改革を促すツール

吉村泰典先生
元日本産科婦人科学会理事長 前日本生殖医学会理事長

慶應義塾大学名誉教授。福島県立医科大学副学長。日本における不妊治療の第 一人者で、2013年からは内閣官房参与として 少子化対策や子育て支援にも取り組んでいる。

「晩婚化」や「晩産化」によって、不妊に悩む女性が増加

日本では、少子化が深刻な問題となっています。その大きな原因のひとつは、女性の社会進出による「晩婚化」や「晩産化」です。少しずつ変わってきているとはいえ、日本はまだまだ女性が妊娠、出産後に職場復帰しやすい環境が整っているとは言いきれません。「子どもを産みにくい社会」だからこそ、まだまだ働きたい女性が結婚や出産よりも、仕事を優先させてしまう傾向があるのです。

「晩婚化」や「晩産化」は同時に、不妊に悩む女性の増加にも直結。女性の生殖能力のことを医学的に「妊孕力(にんようりょく)」と呼ぶのですが、これは年齢を重ねるごとに下がっていきます。つまり、「晩婚化」や「晩産化」が進むのに比例して、不妊に悩む女性が増加しているという現状があるのです。

また、妊娠や出産に関する教育が行き届いていないことも、不妊に悩む女性を増やす要因のひとつとなっています。若い女性のなかには、「45~55歳でも出産できる」と思っている人が少なくありません。つまり、「月経がある=妊娠できる」ではないことを知らない、という事実があるのです。ヨーロッパの女性は、月経が始まると産婦人科で月経や妊娠に関する正しい知識を学びますが、日本ではそのようなことはありません。妊娠について正しい知識を持たないまま大人になり、子どもが欲しいと思ったときには卵子の機能が低下し、妊娠しにくいカラダになってしまっている、というケースが少なくないのです。

不妊検査は、女性よりも男性が先に行うべき

不妊の原因は、女性側だけにあるとは限りません。WHO(世界保健機構)の報告によると、不妊の原因が「男性のみ」にあるケースが24%、「男女とも」にあるケースが24%という結果が出ています。つまり、男性にも原因がある不妊のケースが48%もあるということ。「不妊治療は女性が行うもの」と思っている男性も多いかもしれませんが、この事実から男性も当事者意識を持たなければいけないことがよくわかるでしょう。

さらに言えば、不妊検査は女性よりも男性が先に行うべきです。なぜなら、女性の不妊検査には痛みをともなうものが少なくありません。一方、男性の場合は精液を採取して調べるだけなので至ってシンプル。ですから、なかなか子どもができないと思ったら、まずは男性が不妊検査を行うべきなのです。

とはいえ、不妊クリニックに足を運ぶことに抵抗を覚える男性が多いのも事実。海外では不妊クリニックにカップルで訪れるケースが一般的ですが、日本ではそういうケースは非常に稀です。けれども妊娠や不妊治療は、女性ひとりではなくカップルで協力しあってできるもの。加齢にともなう「妊孕力」の低下が原因の「社会性不妊」を減らすには、男性の意識改革が大きなカギになると言えるでしょう。

男性の意識が変わることで、「産みにくい社会」を変えられる

そのようななか、『Seem』が果たす役割は非常に重要です。妊娠や不妊治療に対する、男性の意識改革をうながすツールになり得ると考えています。スマートフォンを使って、自宅で手軽に精子の状態を知ることが可能。自分の生殖能力と向き合うことができ、「子どもをつくる」ということを真剣に考えるスタートになるのではないでしょうか。

パートナーと妊娠や不妊治療について話し合うキッカケにもなりますし、不妊クリニックに足を運ぶ大きな動機づけにもなるでしょう。将来、子どもが欲しいと思っているのなら、健康診断を受けるのと同じように、『Seem』を使って自分の精子の状態を把握しておくことを強くお勧めします。さらに、男性一人ひとりの意識が変わることで、「女性が子どもを産みにくい社会」が少しずつ変わっていくはず。それが、「晩婚化」や「晩産化」の歯止めとなり、ひいては少子化の波を食い止める一助になると考えています。

また、学校や自治体などと連携すれば、『Seem』の活用法はさらに広がっていくでしょう。わが国の一般男性の平均精液所見は知られていないので、『Seem』を使って多数のデータを集めることで医学の発展にも貢献できると思います。『Seem』の今後の可能性に、とても期待しています。

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