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不妊の原因の半分は、実は男性にあった!? 「男性不妊」って何?

岡田 弘先生
獨協医科大学越谷病院 泌尿器科主任教授

男性不妊を専門とする泌尿器科医の第一人者。
30年にわたり、最前線にて日本で最も多い男性不妊患者の臨床にあたる。
特に無精子症に対する最先端治療であるMD-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)においては、日本で最も症例数が多い。

不妊の原因は女性だけにあると思ったら、実は大間違い!

男性のなかには、「不妊治療は女性が行うもの」と思っている人も少なくないでしょう。確かに、「妊娠しやすさ」は女性の年齢に大きく左右されるため、そのようなイメージがついてしまっているのかもしれません。
けれども、WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊の原因は41%が「女性のみ」、24%が「男性のみ」、24%が「男女とも」という結果に。つまり、実は不妊の原因の半分は男性側にあると言えるのです。

【不妊の原因について(WHO調べ)】

ちなみに、不妊というのは「健康な夫婦が避妊をしないで夫婦生活を送っているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態のこと」。ただ、結婚や出産の年齢が高まっている今の日本では、さらに妊娠しにくい状況になっているようです。
一般的に、カップルの6組に1組が不妊で悩んでいると言われる時代。その原因の半分が男性側にあるという事実を、男性はもっと知っておくべきでしょう。

「男性不妊」の原因は、まだまだ謎に包まれている

不妊の原因が男性側にあることを、「男性不妊」と言います。では、その原因にはどのようなものがあるのでしょう。少し専門的になりますが、精子をつくる機能に問題がある状態を「造精機能障害」と言い、そのなかで原因がわからないものを「特発性造精機能障害」と呼んでいます。男性不妊外来での原因別患者数の割合を見てみると、75%がこの「特発性造精機能障害」という結果に。つまり、「男性不妊」の多くは原因不明というのが実情なのです。

わかっている原因のなかでもっとも多いのが、「精索静脈瘤」。これは、精巣から心臓に戻る静脈内の血液が逆流してしまい、精巣のまわりに静脈の瘤(こぶ)ができてしまう状態のこと。その結果、血流が悪くなって精巣の温度が上昇するなどし、精子をつくる機能が低下してしまうのです。

※最近の検査法の進歩により、特発性(原因不明)造精機能障害の割合は50%程度に減っている

精子がうまくつくれない「造精機能障害」は、精子が見つからない「無精子症」、通常よりも精子が少ない「乏精子症」、精子の動きがよくない「精子無力症」など、いくつかのタイプに分類されます。

「無精子症」と診断されると、「もう子どもは無理」とあきらめなければいけないと思う人もいるでしょう。けれども、精子がまったく存在しないことを確定するのは非常に難しいもの。実際、精巣でごくわずかしか精子がつくられていない場合、精液中に精子が確認できないこともあるのです。2回、3回と検査を繰り返したり、より高度な検査を受けたりすることで、精子が見つかるケースも。ですから、「無精子症」と診断されたからといって、絶対に子どもをつくれないというわけではないのです。

セックスがうまくできないことも「男性不妊」の原因に

そのほか、セックスがうまくできないED(勃起不全)や射精障害なども、「男性不妊」の原因のひとつ。特に、よく知られているのがEDです。「性交時にじゅうぶんな勃起が得られないため、あるいはじゅうぶんな勃起を維持できないため、満足な性交ができない状態」のこと。一言でEDといっても、パートナーが相手だと勃起しない場合や、パートナー以外の女性が相手でも勃起しない場合、そもそも性的衝動が起こらない場合など、さまざまなケースが存在します。

最近は、「妊活」の一環で排卵日を予測してそのタイミングに合わせてセックスをする際に、EDになってしまう男性も。パートナーから「今夜よろしくね」などと言われるとプレッシャーに感じてしまい、勃起や射精がうまくいかなるケースが目立っています。

また、射精障害というのは、射精がうまくできないこと。特に最近は、女性の膣内で射精できない「膣内射精障害」が問題になっています。原因の多くは、間違ったマスターベーションやアダルト動画などの影響。強い刺激や過激な映像に慣れてしまったことで、普通のセックスでは満足できない状態になってしまうのです。

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