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治療はどのようにして進んでいく? 不妊治療の基本の「き」

久慈 直昭先生
東京医科大学 産科・婦人科

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部産婦人科教室入局。
平成13年同大学産婦人科講師、平成26年より現職。生殖医学、不妊症を専門とする。

女性の場合、さまざまな角度から原因を検査

不妊症の治療は、どのような原因で子どもが授かりにくくなっているのか把握することからはじまります。まずは、女性側から見ていきましょう。女性の不妊症にかかわる検査は、基本的に婦人科で行われます。一般的な検査としては、以下の3つがあります。

【一般的な不妊症の検査(女性)】
①内診・経膣超音波検査
  診察室の内診台で、医師が子宮や卵巣を診察。触診をして違和感や痛みがあるかなどを調べるほか、超音波プロープを使用して子宮筋腫や卵巣のう腫、子宮内膜症などの疑いがないかを検査します。
②子宮卵管造影検査
  X線造影室で、X線によって行われる検査です。子宮口から造影剤を注入し、子宮の形や卵管の状態を透視。子宮の内部に異常がないか、また卵管の閉塞や卵管と卵巣の癒着がないかなどを診察します。卵管の通りが悪くなっている場合、この検査によって軽い癒着などが解決して自然妊娠するケースも。
③血液検査
  採血室で血液を採取し、全身疾患に関係する検査を行います。血液検査でわかるのは、ホルモンの様子や糖尿病といった妊娠率を下げる病気の有無。女性ホルモンや男性ホルモンのほか、卵巣を刺激する卵胞刺激ホルモンや黄体ホルモン、さらには母乳を分泌するプロラクチンや甲状腺ホルモンの状態もわかります。

これら3つの検査で何らかの疾患が疑われた場合、機械などを使用した精密な検査を行っていきます。具体的には①腹腔鏡検査と②子宮鏡検査、③MRI検査が代表的。これらによって子宮内膜症や子宮筋腫の有無のほか、ポリープや筋腫、内腔の癒着などを確認していくのです。

男性の治療は精液の検査からスタート

男性の不妊治療の第一歩は、まず精液の検査が行われます。2〜7日射精しない期間を設けたのちに、マスターベーションによって精液を採取。精液量と精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態、感染の有無などを検査します。ただし男性の精液の状況は、日によって変動するため、数回検査を受けると安心です。

これらはWHOラボがまとめた精液検査の基準値です。この値に満たない場合、場合により泌尿器科的検査に進み、その原因を探っていきます。泌尿器科的検査には、診察、内分泌検査(血液中の男性ホルモンなどの検査)、染色体・遺伝子検査、精子の機能を調べる検査などが存在。そのほかMRIで精嚢や射精管の形態を、精巣生検で精子の詳しい形状を調べたり、勃起能力を調べたりする場合もあります。

原因に応じて、排卵と受精を補助する治療を開始

女性側、男性側の不妊症の原因を検査してそれぞれの治療を進めつつ、排卵と受精をサポートする治療を行います。最初は排卵日にあわせてセックスをする「タイミング法」を試すのが一般的。続いて内服液や注射で卵巣を刺激し、排卵をおこさせる「排卵誘発法」に進みます。その後、精液から運動している成熟精子だけを回収し、妊娠しやすいタイミングで子宮内に注入する「人工授精」にステップアップ。ここまでが、一般的に保険が適用する治療です。

それでも授からない場合、生殖補助医療を選択するカップルも多く存在します。この治療は卵巣から卵子を採りだして、体外で精子と受精させ、数日後に受精卵を子宮内に返 す治療のこと。卵子と精子を培養液に入れて自然に受精させる「体外受精」と、顕微鏡で観察しながら運動している精子を一個選別して卵子に注入する「顕微授精」の二種類があります。

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