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1年以上授からなければ可能性アリ!? 不妊症の基礎知識

久慈 直昭先生
東京医科大学 産科・婦人科

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部産婦人科教室入局。
平成13年同大学産婦人科講師、平成26年より現職。生殖医学、不妊症を専門とする。

「不妊」とは、子どもができない状態のこと

不妊症とは一言で言うと、定期的に避妊をせずに性行為をしても、自然に妊娠する可能性が非常に低い状態を指します。そのため妊娠を望むなら、なんらかの治療をする必要があるのです。かつては健康な男女が結婚してなかなか子どもができないと、その原因は女性にある、と思われてきました。けれども現在では、不妊の原因の約半数は、男性側に原因があることがわかっています。

妊娠のしやすさには、カップルの年齢が大きく関わってきます。一般的に年齢が高い夫婦では、妊娠できない期間が1年以内であっても、それ以降に自然妊娠する可能性が低くなるのです。年齢が若い夫婦ならば、不妊期間が2年以上であっても、その後自然に妊娠する可能性は低くない、と言えます。

つまり「不妊」と年齢は、切っても切れない関係だと言えるでしょう。年齢を重ねれば、それだけ妊娠の可能性が低くなることがわかっています。「望んでいるのに、なかなか子どもができない」と感じているのであれば、できるだけすぐ受診すること。躊躇すればするだけ、ますます子どもができにくくなる、と心得ましょう。

どのくらいで「不妊症」を疑えばいい?

では、どのくらいの期間妊娠しなければ、不妊症とされているのでしょうか。

世界中の国々を対としている世界保健機構(World Health Organization: WHO)では、2009年から不妊症を「1年間の不妊期間を持つもの」と定義しています。またアメリカの生殖医学会は、2013年に「不妊症と定義できるのは1年間の不妊期間を持つものであるが、女性の年齢が35歳以上の場合には6ヶ月の不妊期間が経過したあとは検査を開始することは認められる」と提唱しました。

日本産科婦人科学会も、平成27年8月29日の理事会において、「その(不妊とされる)期間については1年から3年までの諸説あり、2年というのが一般的でしたが、1年に短縮」としました。我が国でも、結婚年齢が年々高くなる傾向があることを受け、アメリカの「不妊と判断される期間」である1年間を目安に不妊症を診断するケースが増えているのです。

不妊症の原因って?

将来、妊娠を望むならば、できるだけ早く検査をしておくことがとても大切。なぜなら、「欲しい」と思ってはじめて検査を受け、男女どちらか、もしくは両方に問題がある、と発覚することも多いのです。そこから治療を始めると、ますます年齢を重ねてしまうことになり、妊娠の可能性はどんどん下がってしまいます。まだ妊娠を考えていなくても、自分の生殖器についての状況を知っておくこと。そして必要に応じて検査を受けておくことで、将来妊娠できる確率を高められると言えるでしょう。

では、具体的に何が妊娠の妨げになっているのでしょうか。まず妊娠が成立するには、健康な卵子が排卵し、健康な精子と出会って受精する必要があります。女性側が月経不順や長く無月経状態が続いている場合は、毎月排卵がおこっていない可能性があるのです。排卵がうまくいっていても、卵管や子宮に問題があったり、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気にかかっていたりすると。妊娠が成立しにくくなります。

先ほど述べたとおり、さらに男性が原因の不妊も半数ほど存在します。できれば、結婚前に一緒に産婦人科を訪れ、一通り検査してもらうといいでしょう。

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