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悩んでいるカップルが急増中!? 不妊症の基礎知識

久慈 直昭先生
東京医科大学 産科・婦人科

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部産婦人科教室入局。
平成13年同大学産婦人科講師、平成26年より現職。生殖医学、不妊症を専門とする。

不妊に悩んでいる人は、実際にどのくらいいる?

世界中の過去の調査を2007年にまとめた報告によると、調査された時代や国によって不妊に悩む人々の数はさまざま。1.3%〜26.4%と幅広く分布しており、全体では約9%とされています。つまり世界では1割近くのカップルが、不妊に悩んでいることになります。

一般的に我が国では、健康なカップルが避妊をせずに性行為を続けても、1年以上妊娠しないと「不妊」状態である、とされています。統計が存在しないためはっきりとした数字は示せないものの、「子どもが欲しい」と思いつつもなかなか授からないカップルは、10組に1組とも、5組に1組とも推定されています。

国立社会保障・人口問題研究所の調査を見てみると、不妊を心配したことのある夫婦は実に3組中1組もいることがわかります。そのうち不妊治療や検査を受けた経験がある(または現在受けている)夫婦は全体で18.2%、子どものいない夫婦では28.2%に上ります。

年齢を重ねるほど不妊リスクはアップ

WHO(世界保健機関)の発表によると、不妊の原因が男性のみにある割合は24%、女性のみにある場合は41%、男女ともにある場合は24%、不明が11%とされています(1998年発表)。つまり不妊の原因は女性のみにあるのではなく、男性が原因である場合が半数近くあるのです。

けれども「妊娠しやすさ」は、女性の年齢によって大きく変わることがわかっています。一般的に、女性が最も妊娠しやすいのは20歳前後。年齢が上がるに従って妊娠しやすさは低下していき、30代後半になると年々妊娠しにくくなっていきます。

そのため、「子どもが欲しくてもなかなか授からない」と不妊に悩むカップルは、女性の年齢と比例して増加していきます。女性の年齢が45歳を過ぎると、たとえ排卵や生理が順調におこっていても、妊娠・出産に至る強い卵子をつくりだすことはできなくなり、(たとえ体外受精を行っても)妊娠できる可能性はほとんどなくなってしまうのです。

今後、不妊に悩む人はますます増加する!?

近年日本では、不妊に悩むカップルが増加傾向にあります。晩婚化や子宮内膜症など病気の増加の影響、さらにはストレスなどによる勃起障害やセックスレスなど、健やかな妊娠・出産を阻む要因が多く指摘されているのです。

わが国の女性の平均初婚年齢が28.8歳になったのは、2010年のこと。それにともない、第一子出生児の母の平均年齢は29.9歳と、ほとんど30歳にまで上がっています。30年前の1980年には、これらの数値はそれぞれ25.2歳と26.4歳。3歳以上も高齢化が進んでいるのです。

このように女性の出産年齢の上昇は、そのまま「子どもが欲しい」と思ってもなかなか妊娠しないカップルの割合の増加につながっていると考えられます。実際、不妊治療のなかでも、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療を選択するカップルは、年々増加する傾向に。今後もおそらく、こうしたカップルは増えていくと予想されます。

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