Seem Seem

女性の加齢にも関係がある!? 知っておきたい流産の基礎知識

久慈 直昭先生
東京医科大学 産科・婦人科

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部産婦人科教室入局。
平成13年同大学産婦人科講師、平成26年より現職。生殖医学、不妊症を専門とする。

流産の多くは染色体の異常によって引きおこされる

流産とは、妊娠してから22週未満までに妊娠が継続できなくなることをさします。けれども実際には、胎盤が完成する12週までにおこる場合がほとんどです。では、なぜ流産がおこってしまうのでしょうか。その原因の約80%が、胎児の染色体異常にあることがわかっています。

染色体の異常には、程度が小さいものから大きいものまでが存在。異常が小さいと妊娠はするものの、着床後に成長が止まり、その結果流産がおこってしまいます。異常が大きい卵子は着床する前に死滅してしまうため、妊娠には至りません。

40歳を超えるとなんと半数が流産してしまう!?

流産がおこる確率は15%とされていますが、加齢とともに増加することがわかって います。図を見ると、20代は10%強なのに対し、30〜34歳になると約15%、35歳を超えると20%以上になっているのがわかります。さらに40代になるとその割合がグンと増え、50%以上の妊婦が流産を経験するようです。

ではなぜ、女性が年齢を重ねると流産率が上がるのでしょうか。その理由は、精子が死ぬまでつくられ続けるのに対し、卵子は発生の途中で形成が止まり、そのまま 何十年も体内にあることにあります。この体内にとどまっている期間が長ければ長いほど、卵子の染色体の構造が不安定になり、染色体異常が発生しやすくなってしまいます。このため、女性の加齢とともに不妊症や流産が増加するのです。

「排卵や月経が正しくおきていれば妊娠・出産できる」と思う人も多いかもしれませんが、そうではありません。妊娠・出産に至ることができるのは、染色体異常をおこさない強い卵子をもっている人だけなのです。たとえ50歳で閉経するまで体内に卵子のストックが充分にあったとしても、その卵子は妊娠能力をもちません。ですから月経があるイコール妊娠できる、というわけではないのです。卵巣など婦人科系の臓器は、生命維持に直結しない臓器。そのため、ほかの臓器よりも速やかに廃絶してしまいます。

なお欧米では、高齢の女性が体外受精を受ける場合、染色体異常があるかどうかを調べる受精卵診断(着床前診断)が行われています。これにより染色体に異常がある受精卵は破棄できますが、高齢女性の正常な卵が増えるわけではありません。そのため高額な割に出産には結びつかないことが浸透し、行われないケースも増加しています。

画面イメージ