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同年代の糖尿病患者数よりも多い!? 「男性不妊」の現状

岡田 弘先生
獨協医科大学越谷病院 泌尿器科主任教授

男性不妊を専門とする泌尿器科医の第一人者。
30年にわたり、最前線にて日本で最も多い男性不妊患者の臨床にあたる。
特に無精子症に対する最先端治療であるMD-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)においては、日本で最も症例数が多い。

今の日本において、「男性不妊」は珍しいことではない

「男性不妊」で悩んでいる人は、いったいどれくらい存在しているのでしょう。生殖年齢を25~39歳と仮定した場合、それに該当する男性の数は1100万人(総務省『人口推計』平成29年1月報)になります。そのうちの3分の2が、女性とカップルになって子どもを望むとすると733万3333人。さらに、そのなかの6カップルに1カップルで子どもがなく、うち半数が男性に原因があるとすると、「男性不妊」の割合は約61万人という計算になります。

あくまでも仮定ではありますが、この数字は同年代の糖尿病の患者数よりも多い結果となっているのです。つまり、もはや「男性不妊」は珍しいことでも恥ずかしいことでもない、と言えるでしょう。

にもかかわらず、「不妊=女性側に問題がある」というイメージがまだまだ強いせいか、「男性不妊」についてはあまり知られていないのが現状です。不妊治療に積極的な女性とくらべて、検査を嫌がる男性も少なくありません。

また、「男性不妊」の専門医がまだまだ少ないのも日本の現状。実は、日本生殖医学会に登録している「男性不妊」の専門医は、全国で45名ほどしか存在しないという状況なのです。専門医がもっと増えれば、「男性不妊」の治療がもっと身近なものとなり、「男性不妊」に対する世の中のイメージを変えることにもつながっていくでしょう。

病院に足を運ばなければ、「男性不妊」かどうかはわからないまま

ED(勃起不全)や射精障害などセックスの際に自覚できる症状を除き、「男性不妊」は病院で検査を受けて発覚するケースが大半。つまり、病院に足を運ばなければ、自分が「男性不妊」なのかどうか知ることができないまま、月日が経ってしまうのです。

受診が遅れることでパートナーの女性が年齢を重ね、妊娠のタイムリミットを過ぎてしまうことも。また、女性が懸命に不妊治療に通った数年後に「男性不妊」が発覚し、それまでの努力が無駄になってしまうケースも少なくありません。

そうなってしまってから、「もっと早く受診しておけばよかった」と後悔しても遅いのです。将来、子どもが欲しいと考えているならば、「不妊の原因が自分にある可能性も高い」という現実から目を背けず、パートナーの女性と力を合わせて自分たちのカラダについて理解を深めておくといいでしょう。

男性不妊外来を訪れる患者さんの95%が、うつ症状に!?

病院で検査を受け、「不妊の原因が自分にある」という事実を突きつけられると、心理的に追い詰められてしまう男性もいるかもしれません。実際、「男性不妊」の専門医である岡田弘先生が、男性不妊外来を訪れる患者さんを対象に行った調査では、95%の人にうつ症状が見られたといいます。

確かに、「男性不妊」であることが判明すると、「自分のせいで子どもをつくることができない」「パートナーに申し訳ない」などと、いたたまれない気持ちになってしまう人も多いでしょう。

けれども先にも述べたように、「男性不妊」は特別なことでも何でもなく、今の日本ではありふれた問題のひとつ。また、医療技術の進化によって治療の選択肢も広がってきています。

ですから、万が一「男性不妊」と診断されたからといって、決して絶望する必要などありません。少しの医療サポートによって妊娠に至るケースも多いので、パートナーの女性と一緒に勇気をもって不妊治療への第一歩を踏み出してください。

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