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どうやってつくられる? どのようにして体外へ? 精子の基礎知識

岡田 弘先生
獨協医科大学越谷病院 泌尿器科主任教授

男性不妊を専門とする泌尿器科医の第一人者。
30年にわたり、最前線にて日本で最も多い男性不妊患者の臨床にあたる。
特に無精子症に対する最先端治療であるMD-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)においては、日本で最も症例数が多い。

射精の回数が多くても、精子の数が減ることはない

精子がつくられる場所は、陰嚢のなかにある精巣。精巣は白膜に覆われており、そこから続く中隔という組織によって、200~300の小葉と呼ばれる小部屋に仕切られています。それぞれの小葉には、3~4本の精細管が存在。精子はそこで、74日間かけてつくられているのです。ちなみに、精巣を覆う白膜には神経が集中。陰嚢をぶつけたときに痛みを強く感じるのは、実はそのためなのです。

【精子がつくられる精巣の構造】

精子がつくられるようになるのは、思春期。下垂体ホルモンや男性ホルモンの上昇にともなって、精子の形成が始まります。最初に精巣の発達が促され、陰茎が大きくなり、カラダの筋肉量が増加。そして、声変わりをし、ひげや陰毛、脇毛が生えてきます。それらと同時期に、精子形成もスタート。精子形成において男性ホルモンは、重要な役割を担っているのです。また、精子形成には複雑な過程が存在するのですが、男性ホルモンの分泌には脳の働きが深く関係。つまり、精子は脳でつくられる、といっても過言ではないでしょう。

ちなみに、精子は日々再生産されています。ですから、射精の回数が多くても精子の数が減ることはありません。「マスターベーションやセックスをしすぎると、精子がなくなってしまう」という噂を耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、そのようなことはあり得ないので心配無用です。

約3ヵ月間の旅を経て、精子は体外に放出される

74日間かけて精巣のなかで育まれた精子はその後、精巣上体へと移動。ここで、受精のための能力を備えます。さらに、全長約40cmにもおよぶ精管という細い管のなかを通って移動。そして、射精時には精嚢や前立腺の分泌液と混ざり、尿道を通って精液として体外に放出されます。

精子が精管を進み、射精によって体外に放出されるまでに必要な日数は14日間。精子は74日間かけてつくられるので、精子形成から射精までにトータルで約3ヵ月間もの日数を要することになるのです。

【射精までの精子の通過ルート】

卵子とともに妊娠の要となる精子の全長は、約0.06mm。さすがに、肉眼で見ることはできません。カタチはおたまじゃくしに似ており、頭部・中間部・尾部・終末部の4つの部位で構成されています。遺伝情報であるDNAが入っているのが、頭部にある「核」と呼ばれる部分。また頭部の先端には、受精時に卵へ侵入するために必要な酵素などを含んでいる「先体」がついています。精子は、おまたじゃくしのような動きで活発に活動。そのエネルギーの源となるのが、中間部に存在するミトコンドリアです。

【精子の構造】

射精には性的興奮のほか、ストレスやプレッシャーも大きく影響

最後に、射精のメカニズムについても説明しておきましょう。射精するためには、まずペニスが勃起する必要があります。視覚や気持ちの高揚によって性的興奮が高まると、男性の脳の中枢神経が反応。すると、陰茎のなかにある海綿体に血液が流れ込みます。3本ある海綿体のうち、2本の内部に血液が充満し、その圧力で陰茎が硬く太くなった状態が勃起です。

射精は、性的興奮が頂点に達した際に起こるもの。まず、脊髄の射精中枢が反応することで、精巣上体や精管の周囲にある尿道括約筋、海綿体筋などが規則的な収縮を繰り返します。それら筋肉の圧迫を受けた精子は、精嚢や前立腺の分泌液と混ざりながら尿道口から勢いよく飛び出していくことに。それが、射精のメカニズムなのです。

また、勃起には主に副交感神経が、射精には交感神経が働いています。2種類の自律神経の複雑な働きが勃起や射精をコントロールしています 。勃起や射精には交感神経と副交感神経からなる、自律神経の働きも大きく影響しています。ストレスやプレッシャーによって勃起や射精ができなくなるケースがあるのは、自律神経の調和された働きが乱れるためと言えるでしょう。

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